現在ラット間(Donor: BN rat、 Recipient: Lewis rat)における腹部異所性移植を行い慢性期における冠動脈硬化症の進展に関与する因子を検討中である。腹部へ心臓の異所性移植を受け、免疫抑制剤としてサイクロスポリンを投与されているラットでは血中のエンドセリン-1濃度が上昇している。免疫学的機序に加え、エンドセンリンによる内皮の慢性刺激が内膜の増殖ならびに、平滑筋の形質転換を促し狭窄を助長するのではないかという仮説のもと実験を進行している。まずエンドセリン-1の関与、エンドセリンレセプターA、Bのregulation異常の関与を検討するために以下の2群のモデルを作成した。 1群:コントロール(移植後のRecipient ratに免疫抑制剤のみを投与する。) 2群:移植後のRecipient ratに免疫抑制剤とエンドセリンレセプター拮抗薬を投与する。 以上の2群で比較したところ、2群において冠動脈の増殖は抑制される傾向にあり、エンドセリン-1の関与が示唆された。またエンドセリンレセプターA、Bのregulation異常と、病変の進展の程度との関係を明らかにするために、以下の方法で現在検討中である。正常心と1群の移植心を摘出しエンドセリンレセプターA、Bの発現の差異をNorthern blot analysisもしくはin situ hybridizationで検討する。正常心と比較しレセプターの発現異常を認めればレセプターに対する選択的なAgonist、Antagonistを投与しその関与をより明確にする。また2群で免疫染色を行いエンドセリンの冠動脈平滑筋の形質転換に及ぼす影響を明らかにする予定である。 以上の結果が明らかになればエンドセリンレセプターのアンチセンスDNA遺伝子作成と導入を行う予定である。
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