研究概要 |
【実験1】雑種犬10匹(2.5〜6.0kg,平均3.86kg)に対し肺動脈絞拒術を施行した.長期間(97〜206日,平均160日)飼育生存の後、Pressure Studyを行った.10例全例でmean RVP≧20mmHgを認めた. 【実験2】実験1で作成したCVFモデルに対し、人工肺(MENOXTMEL2000)をRV out letとLA間に介在させ血行動態及び血液ガスの変化を観察した.術中出血にて1例失い、9例(4.8〜8.4kg,平均6.5kg)にて評価を行った.mean RVPは全例で低下したか同じであった. 【実験3】実験2でバイパスを作成したRVPモデル9例に対し、main PAを結紮し全肺置換を行った.4例は全肺置換後、高度の右心不全にて循環動態を維持することができなかった.他の5例(4.8〜8.4kg,平均6.6kg)は全肺置換可能であり、ガス交換能及び血行動態を6時間評価した(Group I).コントロール(Group II)として右心不全でない犬5例に対し、同人工肺をPA・LA間に装着し全肺置換を行い比較した.Group I,IIともに実験期間中のガス交換能は非常に良好であった.Group Iではmean RVPは改善傾向で、Group IIよりも心機能は良好あった. 慢性期右心不全モデルに対し、MENOXTMEL2000による人工肺植え込みは可能で右心不全は改善傾向であった.しかし圧損が依然大きく、肺高血圧症に対し現在市販の人工肺で植え込みを目的とする場合、全肺置換よりバイパス術の方が有用であると考えられた.
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