研究概要 |
心筋のエネルギー代謝調節機序における細胞外マグネシウム(Mg)の関与を心仕事効率を中心に検討した.ラット摘出心を,細胞外液のfree Mg濃度を0,0.5,1.0,1.5,2.0mMと変化させ,ワーキングハートモードで潅流した.大動脈圧,左室圧,dP/dtを測定し,酸素法により細胞内代謝産物とglutamate dehydrogenaseの反応式よりミトコンドリア[NAD+]/[NADH]比を求めた.高Mg灌流心では,細胞内カルシウム(Ca)濃度の減少,細胞内Mg/Ca比の上昇,冠動脈流量の増大,dP/dtおよび心仕事量の低下を認めた.この際,ミトコンドリア[NAD+]/[NADH]比は変化せず,心筋酸素消費量も一定であった.心仕事効率は,細胞外free Mg濃度0.5mMのときに最良であった. 細胞外液のMgは,細胞内Mg/Ca比を上昇させ,心筋収縮性を低下させたが,ミトコンドリア[NAD+]/[NADH]比には変化を及ぼさず,心筋酸素消費量は一定であった.心仕事効率は生理的濃度である0.5mMが最良であった.
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