研究課題/領域番号 |
07671492
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
磯村 正 久留米大学, 医学部, 講師 (30140643)
|
研究分担者 |
田山 栄基 久留米大学, 医学部, 助手
丸山 寛 久留米大学, 医学部, 助手 (10231606)
|
キーワード | 静脈グラフト / 動脈グラフト / プロスタサイクリン / 血管収縮特性 / 冠動脈バイパス術 |
研究概要 |
虚血性心臓病(IHD)に対する冠動脈バイパス術(CABG)におけるグラフト材料として、長期の開存性が良好なことよりpedicled graftとしての内胸動脈(ITA)が第一選択として用いられているが、多枝バイパス術に対応するため、静脈にかわる。遊離動脈グラフトの開存性を研究するため、in vitroでの犬を用いた実験を以下の如く行った。 雑種成犬を用い、全身麻酔下に、一側の大腿動静脈をそれぞれ、遊離し、4℃生理食塩水に保存後他側の大腿動脈間に動脈および静脈の遊離グラフトとして移植した。 静脈グラフトでは移植直後内皮細胞のほとんどが剥脱するが2週間までに再生するが、動脈動脈グラフトでは吻合部周囲の機械的刺激を受けた部のみの剥脱にとどまり、この部の内皮細胞も移植後2週間までには再生した。内皮細胞由来のプロスタサイクリンは移植直後から動脈グラフトで30-40pg/mgで、静脈グラフトでは直後5pg/mg以下で2週間直後においても10pg/mgと有意に低値であった。この間に臨床的に用いた動脈グラフトでも静脈グラフトに比べプロスタサイクリン産生能は高値を示した。血管収縮特性をグラフトを37℃warm bath内に侵漬し等尺性記録装置で測定したが、犬のfree graftでは動静脈いずれでも収縮反応はごく軽度であった。臨床的に用いたグラフトでは、遊離胃大網動脈の収縮反応が最も強くみられた。以上より、移植早期より動脈グラフトにおいて、内皮細胞の形態は温存され、機能的にも静脈グラフトに比べ抗血栓性、収縮性において、より有意な移植グラフト材料と考えられた。現在5匹の犬で大腿動静脈移植後一ヶ月以上生存させ、平成8年度の実験にて、より長期の生存例でのin vivoでの実験を行い、臨床的検討も同時に施行予定である。
|