研究課題/領域番号 |
07671493
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
川口 章 国立循環器病センター研究所, 実験治療開発部・研究 室長 (30195052)
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研究分担者 |
山野 真理子 大阪府立看護大学, 理学療法科, 助教授 (80192409)
白井 幹康 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 研究 室長 (70162758)
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キーワード | Lung Transplantation / Afferent Denervation / Reinnervation / Neuropeptide / CGRP / Substance P / Vagus nerve / Defense Reflex |
研究概要 |
肺移植後の求心性神経の自然再生に関する研究 1.目的 肺移植後の求心性神経路の断絶と遠隔期における再生の自然過程を、近交系ラットにおける同所性左肺移植モデルを用いて、生理学的反射機能の回復と形態学的所見を対比し総合的に検討した。 2.方法 近交系ルイスラットにカフ法を用いて同所性左肺移植を行い(移植群、n=43)、述術1ヵ月から2年までの間に、カプサイシン静注に対する反射性徐脈を観察する生理学的検査および免疫組織染色法による形態学的検査を施行した。各動物の右肺を各固体内の対照として用いる一方、左肺門郭清後のラット(郭清群、n=30)を除神経対照および無処置のラット(対照群、n=15)を正常対照群として設けた。 3.結果 カプサイシンに対する反射性徐脈はすべてのラットにみられたが、右肺動脈を閉塞しすべての肺血流を左肺へ向けると、除神経後8ヵ月以上を経過したラットと正常対照群にのみ反射性徐脈が見られた。形態学的には除神経後でも左肺にミエリン鞘を持つ有髄神経が認められたが、サブスタンスPやCGRPなどの神経ペプチドは生理学的な徐脈反射のあるもののみに認めれた。左肺に逆行性神経トレーサを注入すると、除神経後慢性期のラットにおいて頸部の迷走神経下神経節まで逆行性に軸索運搬されていた。 4.結論 除神経後早期に見られる神経組織は、切断された無機能な末梢の軸索と考えられた。肺移植または肺門郭清により断絶され、急性期には一時消失した求心性神経(主に有髄神経)は、術後約8ヵ月を経た慢性期には迷走神経中に自然に再生し機能しているものと考えられた。 5.派生した研究方針 移植肺に生存と肺機能を依存するラットモデルを開発し、その上で移植時の迷走神経の外科的縫合または神経成長因子の神経再生に及ぼす効果を検討する。
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