研究課題/領域番号 |
07671496
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
斉藤 伸二郎 山形大学, 医学部, 講師 (60153805)
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研究分担者 |
黒木 亮 山形大学, 医学部, 助手 (90225285)
嘉山 孝正 山形大学, 医学部, 教授 (50142972)
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キーワード | hemifacial spasm / rat / facial nucleus / abnormal muscle response / chromic suture |
研究概要 |
前年度作製した顔面痙攣モデルラットにおいて、ヒト顔面痙攣症例に特徴的な異常誘発筋電位に類似の誘発筋電位が記録できた。我々は、これまでの臨床的研究から、この異常誘発筋電位やその発生の元となる顔面痙攣の本態は、血管圧迫部での慢性の末梢刺激により過剰興奮に陥った顔面神経核にあると考えてきた。そこで、モデルラットにおいて定位的にタングステン電極を顔面神経核に挿入し、異常誘発筋電位を記録しつつ、核内直接電位の記録を行った。その結果、末梢電気刺激後1.5〜2msecにピークを持つ、異常誘発筋電位の出現に相応すると考えられる電位がモデルラットにおいてのみ確認された。 末梢顔面神経は髄鞘に被われた有髄線維であり外的刺激にある程度の抵抗性があるが、chromic sutureによる処置とその吸収過程で生じる内芽腫によって髄鞘の脱髄や軸索の変性が起こることが知られている。モデルにおける処置が有髄末梢神経に変化を与え、外的刺激に感受性の高い顔面神経根部の中枢性髄鞘から末梢性髄鞘への移行部に類似した状態となっているかどうかを組織学的に観察した。異常誘発筋電位の記録できたモデルラットの内、3匹において異常筋電位の出現を確認後、すぐにsacifyし処置部の顔面神経を取り出し、ホルマリン固定後トルイジンブルーにて染色し、光学顕微鏡で観察した。Chromic sutureを巻いた部分は、その前後に比較してperineurium内の変化が強く脱髄した有髄繊維が多く神経線維の径も不揃いで、一部では軸索まで変化が及んでいると考えられた。 末梢顔面神経の変化による外的刺激への過敏性が顔面神経核へ慢性の刺激を与え、異常誘発筋電位を発生させるに至ったと考えられ、この顔面神経核の過剰興奮性が顔面痙攣の本態であると結論した。更に、顔面神経核の病理学的変化や生理学的変化を検討していく予定である。
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