ラット及び砂ネズミ等のin vivo脳虚血モデルを用いた実権において血小板活性因子(PAF)拮抗薬の投与が神経症状の改善、脳梗塞巣の縮小、脳浮腫の改善に有効であるということがわかっており、これらの事実から脳虚血病態にPAFが関与することが示唆されている。しかし、虚血の病態には多くの病態が複雑に関与しており、個々の病態の分析には簡略化されたモデルが必要である。今回はラット脳の培養神経細胞を用いて、in vitroの神経細胞障害モデルであるグルタミン酸毒性につき検討し、神経細胞に対する直接的な障害の機構にPAFが関与するかどうかを検討した。 これらの研究で得られた新たな知見は以下のようである。 1.培養神経細胞にグルタミン酸を負荷すると培養液に血小板活性化因子(PAF)が増加した。 2.Fura-2を培養神経細胞に負荷し、その細胞外への遊離から細胞毒性を検討すると10^<-8>Mという極めて低濃度PAFの負荷で神経細胞が障害されることがわかった。 3.グルタミン酸による神経細胞毒性を複数のPAF拮抗薬また抗PAF-IgGのいずれもが抑制した。 以上の結果から脳虚血時の神経細胞の障害にPAFが直接関与することが示唆された。
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