研究課題/領域番号 |
07671509
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 善男 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80171271)
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研究分担者 |
永谷 哲也 名古屋大学, 医学部, 医員
原 政人 名古屋大学, 医学部, 医員
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | クモ膜下出血 / 血管攣縮 / nitric oxide / cytokine |
研究概要 |
くも膜下出血後、一酸化窒素(NO)代謝は急性期から亢進し、髄液中のNO代謝物濃度は上昇し、慢性期まで持続する。これは神経や血管組織を含めた脳全体のNO代謝の亢進を反映したものと思われる。くも膜下出血後の出血量が最も影響を与える因子であり、出血量が多ければNO代謝も影響されやすい。攣縮を起こした血管では慢性期には一酸化窒素合成酵素(NOS)の活性は低下し、NOの拡張作用は消失している。血管支配神経終末内のNOS活性も同様に減少している。反面、攣縮血管の末梢領域では代償的に血流を増やすよう内皮型NOSや神経型NOSの誘導発現が増え、活性が上がっているものと思われる。くも膜下腔に存在するヘモグロビン、特にオキシヘモグロビンは放出されたNOに親和性が高く、簡単にNOを吸着しニトロシールヘモグロビンとなり不活化しNO_3に変換する。特に、オキシヘモグロビンは血管収縮作用もあり、このNOの拡張作用を抑制することから、攣縮発生に貢献しているものと推測される。くも膜下出血後髄液中の炎症性サイトカインの上昇も明らかにできた。これらの炎症性サイトカインが誘導型NOSを発現させる可能性は低いものと推測された。 内皮の機能傷害が攣縮発生に関与していることは疑いもなく、くも膜下出血後という条件下では脳梗塞で指摘されているNOの細胞傷害よりも細胞保護作用のほうが重視される。今後はくも膜下出血後内皮機能を出来るだけ保つため、NOドナーの局所投与や遺伝子治療の手法を用いて攣縮血管のNOS活性を上げNOを増やす治療などが必要になるであろう。
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