研究概要 |
(1)ラット10匹の脳を2段階酵素処理をした後、バ-コール遠心密度勾配をもちいて脳微小血管内皮細胞を分離培養した(Audas変法)。培養内皮細胞を共焦点レザー走査顕微鏡システム(Acas570)下に移し、細胞内カルシウム試薬であるIndo-1AMにて細胞内カルシウム濃度の定量的測定系を確立した。Caionophore(A23187)および高浸透圧刺激を行ったときの細胞内カルシウム濃度の経度的変化を比較したところ、高浸透圧刺激によるカルシウム濃度の増加はCa ionophoreによるものに比して80secの遅れが観察され、刺激除去後のカルシウム濃度の低下も50sec遷延した。この結果から高浸透圧刺激によるカルシウム濃度の上昇には単なる物理的な変化のみならず細胞内の情報伝達系を介している可能性が示された。 (2)培養内皮細胞の無酸素・再酸素化モデルを確立した。細胞障害をLDH漏出で測定し、SOD, catalase, Xanthine oxidase inhibitor、 deferoxamine, indometahcineによる細胞保護作用を検討した。ヒトおよびラット脳微小血管内皮細胞ではSODによりLDH漏出がブロックされたことからsuperoxideによる細胞障害が原因であることがわかり、catalase, XO inhibitorによるブロックは不完全であり、deferoxamin、 indomethacineによってはブロックされないことが判明した。その後、この系を共焦点レザー走査顕微鏡システムに著しいカルシウム濃度の上昇を観察した。現在その機序を解明するために実験を行っている。 平成7年度は地震のため共焦点レザー走査顕微鏡が使用不能となったため(2)のモデルにて実験を進めた。現在、Acas570のシステムに移行して共焦点レザー走査顕微鏡による研究を再開している。
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