昨年度に引き続きラット実験脳腫瘍に対し、^<195m>Pt-CDDPを用いて内頚動脈投与と静脈投与を行い、その薬物動態を調べ両者の比較検討を行った。内頚動脈投与は各量をone shotで投与し、それぞれ20分後と60分後に、静脈投与もone shotで行い60分後に、それぞれ脳腫瘍、正常脳、血液を採取し、各Pt活性を測定した。また腫瘍細胞はSchneider法により分画化し、各分画中のPt活性を測定した。それぞれについて(1)腫瘍内Pt活性の血液中Pt活性に対する比(T/B)、(2)正常脳内Pt活性の血液中Pt活性に対する比(N/B)、(3)腫瘍細胞のDNA分画中のPt活性(%)を求めた。 内頚動脈投与20分後は1mg:(1)2.59、(2)0.51、2(3)3.65%、0.5mg:(1)1.12、(2)0.10(3)3.71%、0.25mg:(1)1.06、(2)0.08、(3)3.47%であった。同投与60分後は1mg:(1)2.79、(2)0.75、(3)3.15%、0.5mg:(1)1.55、(2)0.13、(3)3.86%、0.25mg:(1)1.20、(2)0.10、(3)4.11%であり、腫瘍に対しPtは正常脳の5〜10数倍、用量依存性に移行していた。一方静脈投与では1.0mg:(1)1.41、(2)0.04、(3)3.69%、0.5mg:(1)0.86、(2)0.05、(3)4.23%、0.25mg:(1)0.56、(2)0.07、(3)3.88%と同様の傾向であった。また投与法を比較すると同量投与では内頚動脈投与群のほうが静脈投与群の数倍のT/B値であり、内頚動脈投与の有効性が示された。腫瘍細胞のDNA分画中のPt量は投与法・量に関わらず3〜4%と一定の傾向であった。このことからCDDPは薬剤移行の観点からは内頚動脈投与で多量ほど有効であると考えられた。今後さらに例数を増やすと共に、in vitroのdataも併せ脳腫瘍に対するCDDPの有効性を検討していく予定である。
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