研究概要 |
老化誘導遺伝子(p21発現遺伝子)は細胞分裂抑制因子であり、cycline dependent kinase2 (cdk-2)の抑制因子及び癌抑制遺伝子p53のmediatorとして注目されている。また、P16発現遺伝子も細胞周期調節に深く関わっていることが知られている。培養ヒト悪性グリオーマ細胞及び臨床材料についてp21遺伝子及びp16遺伝子の変異をSouthern blot analysis, northern bolt analysisによりDNA及びRNAレベルでの解析を行った。この結果、p21遺伝子は悪性グリオーマの約40%においてその変異が確認され、p16遺伝子はほとんどの培養細胞と多くの臨床材料で変異または欠損を確認した。 次に、リポソーム法を用いて培養ヒト悪性グリオーマ細胞にp21遺伝子及びp16遺伝子を導入し、導入細胞における細胞増殖能を検討した。p21遺伝子及びp16遺伝子導入細胞のいずれも細胞増殖に抑制が認められ遺伝子導入効率の改善により臨床における抗腫瘍効果が得られる可能性が示唆された。現在、静止期の細胞にも導入可能で、非常に導入効率の高い組み換えアデノウイルス作成するとともに、これを使用したin vitro, in vivoにおける細胞増殖抑制について検討中である。
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