研究課題/領域番号 |
07671528
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
峯田 寿裕 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (20264187)
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研究分担者 |
福山 幸三 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (60238516)
田渕 和雄 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (50116480)
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キーワード | differential display / neuron / astrocyte / oligodendrocyte / neuronal differentiotion / glial differentiotion / VASP |
研究概要 |
われわれは、神経膠細胞の分化増殖に関連する遺伝子の同定方法として、Liangらによるdifferential display法を用いている。この方法は従来の方法と比較して、比較的簡単に、複数種の組織間において発現の異なる遺伝子を同定することができ、すでにいくつかの遺伝子が報告されている。また、われわれはラット脳から、阿相らの方法により,oligodendrocyteとtype-2astrocyteの前駆細胞であるO-2Aprogenitor細胞を、McCarthyらの方法によりoligodendrocyteを分離培養した。このO-2Aprogenitor細胞とoligodendrocyteの間で発現の異なる遺伝子を、differential display法を用いて検索したところ、数種の遺伝子が得られた。その内の一種はO-2Aprogenitorに多く、oligodendrocyteに少なく発現しており、また全脳組織では加齢に伴い減少していた。すでにわれわれは、この遺伝子(RB610)のアミノ酸コード領域全長を含むcDNAをクローニングしている。GenBankデータベースによるホモロジー検索では、RB610はこれまでに報告されていない遺伝子であり、そのコードするアミノ酸配列は、VASP(vasodilator-stimulated phosphoprotein)という蛋白に類似していることを確認している。VASPはリン酸化されて、profilin(アクチンフィラメントの重合シグナルを伝達し、細胞骨格や接着斑の形成および細胞の運動を制御する蛋白)に結合することが確認されており、VASPの存在下でアクチンの重合が促進されるという報告もある。このため、RB610も細胞骨格や細胞の運動性に関与することが推測される。またRB610はある種の神経膠種ではその発現を欠いており、膠瘍細胞の接着性の低下や転移機構に関わっている可能性も考えられ、現在その詳細な機能を解析中であり、今後も主にこの遺伝子について解析していく予定である。
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