研究概要 |
術後、平均3年followした20例を対象とした。L-Dopa剤を中止した時のH/Y stageはIVが最も多く11例でV-5例、III-4例。罹病記間は平均9年。術後移植効果として、L-Dopa剤を中止しえたもの-著効、同剤を半減しえたもの-有効の有効群とし、そのほかを無効と判定した。経時的に術後移植効果を見ると、術後1、2年では70-80%に、3年では50%に有効でありました。この有効/無効群において、臨床効果へ影響する因子を検討した。臨床的因子としては、手術時の年齢、罹病記間、重症度(H/Y stage,UPRS)をt-およびchi-squarentestによる統計学的検討を加え行った。その結果、年齢は、有効群-53歳、無効群-55歳を平均とし有意差を認めなかった。罹病記間においては有効群-90ケ月、無効群-120ケ月を平均とし、有効群において罹病記間が短い傾向を示すが有意差を認めなかった。(H/Y stageでは、GradeIII、IVに有効群を多く認め、UPRSは、有効群-57、無効群-80を平均とし、有効群において重症度が低い傾向を示したが有意差を認めなかった。いずれの因子も統計学的には有意差を認めなかったが、重症度が臨床的因子の中で最も臨床効果へ影響すると考えられた。生物学的因子の検討として、培養組織での検討では神経突起のoutgrowthは約3週間観察され、2週で平均600mmを示したが症例によりバラツキを認めた。また、培養上清中のcatecholaminesでは生着にともない1週にかけてepinephrine優位に増加を示しその後は一定を示した。培養早期にschwann cellの増生を示したものは神経突起のoutgrowthは少ない傾向を示した。培養組織学的にも、neurite growth,schwann cellの増生に各症例間で差を認めた。
|