術後、平均3年followした20例を対象とし、その移植として用いた星状交感神経節の一部を病理学的検索を行い臨床効果への影響を検討した。 術後移植効果として、L-Dopa剤を中止しえたもの-著効、同剤を半減しえたもの-有効とし、そのほかを無効と判定した。移植効果は著効-4例、有効-6例、無効-10例であった。 星状交感神経節の病理学的所見として、 その神経節細胞数は、著効・有効群-115±24mm2、無効群-94±25で、Lewy小体は、著効・有効群10例中4例、無効群10例中9例に認めた。免疫組織学的に、chromogranin.tyrosine hydroxylase免疫陽性度の低下を著効・有効群10例中3例、無効群7例中5例に認めた。 同様に、synaptophysin免疫陽性度の低下を著効・有効群10例中3例、無効群7例中4例に認めた。移植片である星状交感神経節に高頻度に、中枢神経系同様変性所見が観察され、その変性所見としてのLewy小体の有無は、臨床移植効果への重要な影響因子と考えられた。 さらに、生物学的因子の検討として、培養組織での上清中のinterleukin-1βと神経伸長との関係について検討した。培養2週での神経伸長度と上清中のinterleukin-1βとの間には相関傾向を認め、星状交感神経節の神経伸長にinterleukin-1βは重要な生物学的因子と考えられた。
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