研究概要 |
虚血急性期の体温がクモ膜下出血患者の予後に及ぶ巣影響について検討した。過去の症例を検討した結果、(1)WFNS分類では予後を正しく評価できない、(2)クモ膜下出血患者の入院時の体温は重症例ほど低い、ということが判明した。そこで、統計学的に最も妥当なGCSだけを基にした新しい重症度分類を、過去の症例から導き出した。予後の判定はGOSを数値化して用いた(dead=1からgood recovery=5)。この重症度分類は、軽症から順にI:(GCS=15;mean GOS=4.68±0.05)、II:(GCS=11,12,13,14;mean GOS=4.10±0.06)、III:(GCS=8,9,10;mean GOS=3.55±0.11)、IV:(GCS=4,5,6,7;mean GOS=2.65±0.10)、V:(GCS=3;mean GOS=1.81±0.22)である。ここで与えられた、各grade毎の平均GOSは、クモ膜下出血に対する治療を行った際、これ以上の値を示せば効果がある判断できる基準値となる。8例に対して温度管理(35.0℃-36.0℃)を行ったが、結果は予後の基準値を超えられなかった。また、他の施設から低体温療法を行った症例で、著しく遅い時期に血管攣縮が発生するとの知らせを受けたので、温度管理療法は中断した。
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