研究課題/領域番号 |
07671547
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山本 隆充 日本大学, 医学部, 講師 (50158284)
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研究分担者 |
坪川 孝志 日本大学, 総合科学研究所, 教授 (80058958)
片山 容一 日本大学, 医学部, 教授 (00125048)
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キーワード | 頭部外傷 / 脳挫傷 / 血管内凝固 / 脳血流 / 血栓形成 / 脳血管障害 / 血小板 / ラット |
研究概要 |
前年度の研究結果より、脳挫傷組織と隣接する脳組織では、外傷早期より脳血流が著明に低下することが明らかとなった。また、この血流低下の原因として細血管内での微小血栓形成の関与が推測された。平成8年度は、脳血流の低下と血栓形成の関係を以下の方法で検討した。 1)脳挫傷作成直後に、血小板活性因子阻害剤etizolam(2-4mg/kg)を投与し、24時間後に組織学的検討を行った。挫傷中心部ではetizolamの効果は、明らかでなかったが、隣接脳組織での血栓形成は抑制される傾向にあった。そこでLaser-Doppler血流計を用いて脳血流量の変化をみた。脳挫傷中心部では、脳血流は外傷後直後、10から20分以内に虚血レベルにまで低下した。隣接脳組織では、外傷直後1から2時間の経過で徐々に血流が低下し、虚血レベルに達したが、その後正常の40から60%にまで改善したのち再び低下し、虚血レベルとなり回復しなかった。etizolamは脳挫傷中心部の血流低下を改善しなかった。隣接脳組織においては、etizolamの投与は、受傷直後の脳血流低下には有意の影響を与えなかったが、3から6時間後に認められる血流の再低下を抑制した。 2)血液凝固因子阻害剤であるnafamostat mesilateを投与し同様の観察を行ったが、有意な改善は認められなかった。 中心部での血流低下は、外傷直後より虚血レベルに達し、薬剤による抑制効果がないことより、外力による直接的な一次損傷であると考えられる。これに対して隣接脳組織で観察される脳血流低下は、二相性の変化を示すことより、二次的な組織障害が関与していると考えられる。第一相の血流低下は、細血管の攣縮などが原因であり可逆的な変化であると推測される。第二相の血流低下は、二次的な血管内皮細胞障害などにより、血栓が進行性に形成される結果であると思われる。
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