生体内容溶解性ポリマーを担体とした放出を抗がん剤を用いて動物実験、並びに臨床例において詳細に検討を加えた。主に乳酸ポリマーを対象としたが、分子量に反比例して放出速度は速くなった。検討した分子量では2200のものは有効濃度の放出が4週間に渡って認められた。さらに小さな分子量のものは担体の膨潤による容積増大が脳圧の増大を来し、実験系では放出された薬剤の効果を凌駕する為臨床系からは省かれた。polyethylen glycolでは1-2週間の放出期間であり、いずれの系にても一定濃度のcontrol releaseは得られておらず、新たに熱変性ポリマーを検討中である。TSHの脳室内投与に伴うMn-SODのinductionは低濃度ではdose dependentであるが高濃度では低下する。砂ねずみを使った前脳虚血のモデルでは、海馬でのMn-SODの蛋白量は約2倍にまで増加するが、海馬神経細胞に対する保護作用はTSHの投与量として1020μU/70gm(体重)にピークを有することが判明した。さらに臨床例に近い病態モデルを作成する為にelectromagnetic thrombosisによる局所脳、ないし脊髄梗塞モデルを作ることに成功した。この10μmの鉄粒子をembolusとするこの系では効率に出血性梗塞がみられ、再開通モデルとして臨床例に類似したモデルといえる。遅発性神経壊死の期待される部位にて、組織上でのDNA single strand化の検証を新たに作成した抗体にておこなった。さらにp53の発現時期の検討を行い神経細胞、星細胞、マイクログリア間でその発現に興味のある結果を得た。ラヂカル消去系とアポトーシスとの関係が証明できる結果が得られたものと考える。
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