研究概要 |
IL1あるいはTSH封入DDSでは10-20μU/個体(70gm)でMn-SODの誘導が得られる。蛋白量はほぼ正常値の1.5-2倍に達する。しかしながら周囲に神経細胞死が見られ、さらにこれらの細胞ではエンドラベリングでアポトーシスが認められた。コントロールとはなり得ないため、浸透圧作動微量注入装置に切り替えて検討中である。同装置にてDDC持続投与を行った実験系では海馬歯状回顆粒細胞がエンドラベリングでは陽性を示したが、超微形態的にはアポトーシスと異なった。培養系ではPC12細胞での検討を加えているが、DDC投与でのラジカルの増量は認められず、アポトーシスではなく壊死が起こっている。これらのことはラジカル負荷による神経細胞のアポトーシスの誘導は細胞の種類により異なるものと考えられ、AMLに認められるように運動系神経細胞において検討を加える必要があり、SOD低下、ラジカル増加に伴うアポトーシスが観察できれば、SODの誘導による効果が期待される。今後適当な細胞株の樹立が必要となった。一方electromagnetic thrombosisによる局所脳、脊髄梗塞モデルを作ることに成功した。60%に出血性梗塞ができ、臨床例に酷似している(Neuro Sci Lett,1996)。DNA single strand化の検証を新たに作成した抗体にておこなった。p53は神経細胞では選択的遅発性神経細胞死の起こる前に、星細胞では星細胞が減少する前に発現が認められた(Neuropath Jap,1996)。脊髄モデルでラットの脊髄背側に静脈性、砂ネズミでは前脊椎動脈系の梗塞が出来た。後者では症状と梗塞範囲様式が一致し、大きく五つのタイプに分類できた。今後このモデルを使用して脊髄運動系核においてラジカル負荷におけるアポトーシスを誘導し、control releaseによるSODの誘導を検討する。
|