研究概要 |
本年度はネコおよびラットにおいて,大脳皮質電気刺激前の予備実験として,痛み刺激としてのフォルマリン顔面皮下注が発現する中枢神経内c-fosの分布を検索した.麻酔下のフォルマリン注射群と麻酔のみも対照動物群でFos抗体を用いた免疫組織化学法で組織標本を作成した。 1.痛み刺激群のネコ,ラットともに三叉神経脊髄路核尾側亜核にc-fos発現を認めた。 2.ネコ,ラットの痛み刺激群,対照群ともにc-fos発現を認めたのは,脳幹:狐束核,最終野,網様核,蝸牛神経核,前庭神経核,青斑核,傍腕核,中心灰白質,背側縫線核,上丘,下丘,視床下部:室傍核,視索上核,諸視床下野,前脳:対角帯核,対座核,中隔核,扁桃核などであるが,両群間に特に有意差は認められなかった. 3.大脳皮質では,ネコで両群とも舟状回(前頭前野),辺縁下野,前部帯状回,眼窩回,島回,梨状回などにc-fos発現を著明に認めた.ただ前部帯状回,島回ではやや有意に近い差(p=0.06)を認めている.顔面感覚野でも痛み刺激ネコのみにc-fos発現を認めた.ラットでも前頭前野,頭頂葉(体性感覚野),側頭葉,後頭葉,帯状回,辺縁下野,眼窩回,島回,梨状回などにc-fos発現を認められたが,対照群との間でとくに有意差は明らかでなかった.ただ帯状回の一部,頭頂感覚野では痛み刺激群で発現がやや多い印象がある. 本年度は大脳皮質刺激がこれらのc-fos発現に及ぼす影響を明らかにしたい.
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