目的:PTHの間欠的投与がラットのステロイド性骨減少を予防するメカニズムを解明する目的で、ステロイドを持続的に投与した骨芽細胞にPTHを間欠的に作用させてその分化に及ぼす影響を検討した。方法:マウス骨芽細胞様細胞MC3T3-E1を1.2×10^4個/cm^2で播種し、10%FBS、5mMβ-グリセロリン酸、50μg/mlアスコルビン2リン酸を含むα-MEM(基礎培地)で培養した。培地交換は播種翌日より48時間毎に行った。48時間を1サイクルとし、播種翌日より下記の種々の条件で9サイクル培養した。(1)Control群:基礎培地で培養。(2)Prednlsolone(PSL)群:PSL添加培地(基礎培地+PSL 10^<-9>or10^<-6>M)で培養。(3)hPTH間欠投与群:hPTH添加培地(基礎培地+hPTH 50ng/ml)で各サイクルのはじめの6時間培養し、残りの時間を基礎培地で培養。(4)PSL+hPTH間欠投与群:PSL+hPTH添加培地(基礎培地+PSL10^<-9>or10^<-6>M+hPTH)で各サイクルのはじめの6時間培養し、残りの時間をPSL添加培地で培養。ALP活性、総蛋白量を定量しPTH/PTHrP受容体mRNAの発現をNorthern blot法により検討した。結果:(1)ALP活性:PSL投与群、hPTH間欠投与群はControl群よりALP活性が上昇した。PSL投与+hPTH間欠投与群はPSL投与群よりもALP活性が上昇した。(2)総蛋白量:Control群よりも減少したのはPSL10^<-6>M群とPSL10^<-6>M+hPTH間欠投与群だけであり、その2群間の比較ではPSL10^<-6>M+hPTH間欠投与群の方が蛋白量が多かった。(3)PTH/PTHrP受容体のmRNAは培養初期には全群でほぼ同等に出現し、培養後期(7.9サイクル)では、PSL10^<-6>M群と、PSL10^<-6>M+hPTH間欠投与群で増加した。考察:PSLはALP活性を上昇させたことから骨芽細胞の細胞分化を促進し、PTH間欠投与はこれをより促進する。しかしPSL10^<-6>M投与は総蛋白量を減少させることから細胞増殖を抑制したと考えられる。これにhPTHを間欠投与すると総蛋白量が増加することから細胞増殖が回復したと推測される。このことは、PSL10^<-6>M投与によってPTH/PTHrP受容体mRNAが増加することが関与していることが示唆された。
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