研究概要 |
従来、椎間板後方は脊髄神経が反回した洞脊椎神経が分節性に支配しているとされてきたが、これでは椎間板性腰痛の非局在性や神経根の刺激で腰痛が出現しない事実を説明できない。今回の研究ではWistar系ラットを用い交感神経幹を段階的に切除し、腰椎椎間板後方の神経線維網の変化を観察した。この結果、ラットでは腰椎椎間板線維輪後方および後縦靱帯は交感神経幹を経由する神経線維により両側性、非分節性に支配されていると考えられた。この事実は椎間板性腰痛の診断、治療法の選択において極めて重要な知見である。 さらに椎間板性腰痛との関連において、椎間関節の神経支配についても検討を加えた。すなわち、ラットL5-6椎間関節を神経トレーサー(CTB)で標識し、CTB陽性細胞の局在する神経節を調べた。また、新生ラットの腰椎部連続切片および成熟ラットの椎間関節包切片を作成し、知覚神経のマーカー(CGRP)と交感神経節後線維のマーカー(DBH,VIP,NPY)を用い、神経線維の走行を再構成した。この結果、L5-6の椎間関節はL1-L5の後根神経節、T12-L6の傍脊椎交感神経節の神経細胞に支配され、知覚神経線維の一部は傍脊椎交感神経幹を通過していた。また椎間関節に分布する脊髄神経背側枝中のCGRP陽性線維が交感神経交通枝と連絡するのを認めた。すなわち、椎間関節、脊髄神経背側枝、交感神経交通枝、傍脊椎交感神経幹、L1,L2後根神経節を経由する知覚伝達経路の存在が示唆された。
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