研究概要 |
(1)メソトレキセート(MTX)投与によるヒト骨肉腫細胞上のHLA class-I,II発現量の変化. MTX耐性ヒト骨肉腫細胞株であるNOS-1細胞2×10^6個を各種濃度(10^<-12>-10^<-8>M)のMTXを含んだ培養液で24時間培養した.その後FACScanを用いて,腫瘍細胞上のHLA class-I,II抗原の発現量をMTXに暴露していないコントロールと比較した.HLA class-Iは濃度依存性にその発現量が減弱していた.HLA class-IIはもともと発現量が少なく,MTX暴露によっても明らかな変化は認められなかった. (2)MTXによる骨肉腫細胞に対するLAK感受性の変化. 上記の条件で培養したNOS-I細胞をtarget cellとして,LAK細胞に対する感受性を比較検討した.健常成人男性より末梢血液を採取し,Ficoll法により単核球を採取した.単核球を20U/mlのrecombinant Interleukin-2を含んだ培養液で3日間培養しLAK細胞を誘導した.LAK活性は各割合でE:T比をふり4時間^<51>Cr遊離法で測定した.その結果LAK活性は,target cell上のHLA class-1の発現量と逆相関するように,高濃度のMTXで培養したNOS-1細胞程高かった.この結果から骨肉腫細胞は、抗癌剤であるMTXに暴露されるとLAK細胞の腫瘍細胞障害活性に対する感受性が亢進することが判明した.さらにこれには腫瘍細胞上のHLA class-1抗原の発現量が関与しているものと推定された.
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