(目的)従来の単層平板培養法では常に高い圧にさらされている椎間板の圧負荷に対する細胞応答を解析するのは不適当であり、椎間板細胞の3次元的培養を試みた。 (方法)屠殺直後の4歳成牛尾椎椎間板の髄核を無菌的に採取し細切した。0.1% collagenaseで細胞を分散させ、1000rpmで10分間遠心し細胞を分離した。1.2% alginateを含む生理的食塩水に髄核細胞を浮遊させ28Gの針を用いて102mMCaC12液に滴下し、microbeads内に椎間板細胞を封入した。これを10%FBSを含むDMEMで培養し培養液は1週間毎に交換した。同時に細胞の単層平板培養も行った。 (結果)椎間板の髄核細胞はalginateのmicrobead内に3次元的に保持され、培養開始後1か月間以上生存しうることが確認された。ヘマトキシリン-エオジン染色による組織学的検討においては従来の単層培養された椎間板細胞は低面に沿って樹状突起を伸ばした多形角の細胞形態を呈したが、Alginate beads内の椎間板細胞は豊かな細胞質を有する楕円形であり生体髄核組織中の形態により類似して立体構造を呈していた。また、Alcian blue染色では細胞周囲が青色に染色され酸性ムコ多糖を合成分泌していると判定された。 (今後の展開)椎間板細胞の細胞骨格であるアクチンフィラメント(直径約6nm)およびmicrotubules(直径約24nm)を蛍光染色し、共焦点レーザー顕微鏡で3次元的に観察を行う予定である。当初アガロースゲル内3次元培養法も試みたが圧負荷実験には不適当であると判断され、今後alginate beadsを用いた3次元的椎間板細胞培養法を採用することにした。
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