研究課題/領域番号 |
07671578
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
中土 幸雄 信州大学, 医学部・附属病院, 助教授 (80115360)
|
研究分担者 |
野村 彰夫 信州大学, 工学部・情報工学科, 教授 (00115362)
斉藤 覚 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (20175350)
|
キーワード | 長管骨 / 力学特性 / インパルス衝撃応答法 / 骨折治癒 / 共鳴振動数 |
研究概要 |
(1)実験方法 1.5から2歳の雌ビ-グル犬13頭を用い1側の脛骨中央部で手術的にbone sawで骨折モデルを作成した。11頭ではSMOプレート(長さ6mm、スクリュー16mm2本、14mm2本)で、2頭は創外固定(Orthofix mini-model1頭、Aesculap mini-model1頭)で固定した。その際いずれも骨片間に2mmのギャップを開けて固定した。実験犬を3グループに分け、A群:プレート固定、短期観察群(8週屠殺)、B群:プレート固定、長期観察群(18週屠殺、1頭は25週で屠殺)C群:創外固定群、とした。屠殺は麻酔後放血により行った。術後1週ごとに、インパルス衝撃応答法による共鳴振動数の測定(脛骨内果加振、脛骨上端内顆で記録)、レントゲン検査、骨折部のDXA法(DCS-600,ALOKA)による骨塩量(BMD)測定、血液生化学検査を経時的に行った。屠殺後、骨折部を摘出し組織学検査を行った。 (2)実験結果 1)共鳴振動数の測定では、健常側と骨折側とも振動に2つのモードが認められた。即ち、プレートと平行な面の振動と、垂直な面の振動であった。前者は術後よりわずかずつ上昇したが、後者は術後増減を繰り返しながらも順調に増加していった。これはプレート固定の影響を余り受けない骨自身の変化を強く反映した振動であると言える。 2)プレート固定ではおよそ15週を過ぎると骨折側の振動数が健側の値に等しくなった。一方、創外固定群では25週過ぎても健側に達しなかった。 3)BMDは術後2週目に一度下降するしその後順調に増加した。12-14週目でピークに達し、以後軽度下降した。 4)アルカリフォスファターゼ(ALP)は術後急激に上昇し、1-2週目にピークに達した後下降し4週目前後からはほぼ一定になった。 (3)考察 組織学的検討を現在行っている。これまでの結果から、インパルス衝撃応答法による共鳴振動数の測定によって長管骨骨折の治癒過程を経時的に観察できる手段であることがわかった。その際、内固定材の面に垂直の振動モードを測定することで骨自身の骨癒合の変化をより鋭敏に観察できることもわかった。創外固定はプレート固定に比べ癒合に時間を要した。
|