研究概要 |
1991年から96年までに当院でMRIを施行した男性76,女性110膝を対象とした.年齢は12から85歳であった.MRI装置はGE社Signa advantage1.5Tで,fast SE法プロトン密度強調の矢状断とした.縞状のACL像の信号強度とその幅よりMRIタイプ分類を行い各年齢層での出現頻度を調査し,さらに脛骨に対するACLの立ち上がり角度を計測しその平均を求めるとともに,先のタイプとの関連性についても検討した.また上記対象例のうち30膝は膝を45から60度の範囲で屈曲位としタイプとACLの立ち上がり角度の二点から検討した.ACLのMRI像を次の4タイプに分類した.タイプ1-ACL幅の1/4以上の太い低信号帯を全長あるいは部分的に一本ないし複数本認める,タイプ2-細い低信号帯を全長あるいは部分的に一本ないし複数本認める,タイプ3-低信号帯は認めないが中等度〜高信号の縞状像を認める,タイプ4-縞状像を認めず全体に中等度〜高信号のぼやけた像を呈する.これらのうちタイプ1,2は50歳未満の年齢層に多かったのに対し,タイプ4は高齢者に多かった.ACLの立ち上がり角度は平均47度で,タイプ1から4へと進むほど減少した.また屈曲位では約80%で信号強度の低下を認め,立ち上がり角度も平均38度と減少した.ACLは加齢によりタイプ4に移行し,またACLの弛みもともなってくる可能性が示唆された.
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