ラットの膝蓋腱外側1/2を切除し凍結処理した靱帯を移植腱として使用し、同系のラットの膝蓋腱外側1/2を切除後移植を施行した。移植後1、2、4週でと屠殺後、HE染色、rhodamine-phalloidinとIII型procollagenのN末端を認識するポリクローナル抗体(pNIII)を用いてF-アクチン、新生III型コラーゲンの二重染色を施行した。移植腱を凍結処理することにより、移植時の移植腱内の細胞は壊死し、III型procollagenはpNIIIで認識されない。従って移植後のシグナルは新たに侵入した細胞、コラーゲン線維と考えられる。移植後1週から、細胞侵入は移植靱帯の両端から始まり、2、4週では移植腱全体に侵入細胞が認められた。これらの細胞は線維芽細胞様の紡錘状の形態を呈し、移植腱の線維間に線維束方向に配列していた。F-アクチンも移植腱の線維方向に配列し、新生コラーゲン線維の配列はF-アクチンの分布とよく一致していた。さらに、移植腱に加わる初期張力の影響を除去するため、弛緩した状態で腱移植したが同様の結果であった。これらの結果は、移植腱の細胞外基質の配列は、細胞侵入の時期、細胞侵入速度には影響しないが、細胞の配列を規定し、細胞内F-アクチンの配列を介して二次的N新生コラーゲン線維の配列を規定していることを示唆した。これらの結果はin vitroでの膠原線維とアクチン間でのフィブロネクチン、インテグリンを介した力学伝播の報告とよく一致する。
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