研究概要 |
骨軟骨移植の動物実験として、日本白色家兎を用いた関節軟骨損傷のモデルを作成し、肋軟骨のみの移植(軟骨移植)と肋骨肋軟骨連結部の移植(骨軟骨移植)を行った。移植後3、6、12、24週で摘出し、ヘマトキシリン-エオジン染色して、両者を比較検討した。 移植後24週において、肋軟骨移植では移植軟骨表面は〓爛、不整等がみられ、間質にも亀裂を生じており、また深層には軟骨細胞が広範に壊死、消失している部分もみられた。これに対し、肋骨肋軟骨連結部移植では軟骨表面は〓爛等がなく平滑であり、間質の亀裂や軟骨細胞の壊死もほとんど認めなかった。 肋骨肋軟骨連結部移植では軟骨部を薄くすることが可能であり、また肋骨部と海綿骨との間で移植後早期に骨癒合し血行の速やかな再開が期待できるため、軟骨表面の〓爛や間質の亀裂、細胞壊死等の変性所見は少なく、軟骨部は良好に生着していると考えられた。臨床的には軟骨欠損が比較的狭く、損傷が軟骨下骨にまで及ぶ離断性軟骨炎や特発性内顆骨壊死、骨軟骨骨折等の治療に応用が可能と思われた。 以上の結果を第9、10回日本整形外科学会基礎学術集会、第13、14回日本骨・関節・軟部組織移植研究会、2nd combined meeting of the orthopaedic research societies of U.S.A.,Japan,Canada and Europeで報告した。 今後はさらに長期(移植後1年)の結果の検討や力学的評価を行い、また軟骨の再生を期待する軟骨膜の移植に関しても肋骨肋軟骨連結部を用いた(肋)骨付き(肋)軟骨膜移植の実験を並行して行っていく予定である。
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