骨軟骨移植の動物実験として、日本白色家兎を用いた関節軟骨損傷のモデルを作成し、肋軟骨のみの移植(軟骨移植)と肋骨肋軟骨連結部の移植(骨付き軟骨移植)を行った。移植後48週で摘出し、ヘマトキシリン-エオジン染色、サフラニン-O染色して長期成績を比較検討した。またI型、II型コラーゲンを染色して、肋軟骨移植と肋骨肋軟骨連結部移植の間質の性状も比較検討した。 移植後48週において、肋軟骨移植では移植軟骨表面は糜爛、不整等がみられ、間質にも亀裂を生じており、軟骨細胞が広範に壊死、消失している部分もあった。またI型コラーゲンに染色するなど関節軟骨とは異なる性状を示した。これに対し、肋骨肋軟骨連結部移植では軟骨表面は糜爛等が少なく平滑であり、間質の亀裂や軟骨細胞の壊死もほとんど認めなかった。またII型コラーゲンにも染色性があり、関節軟骨により近い性状と思われた。 肋骨肋軟骨連結部移植では軟骨部分を薄くすることが可能であり、また肋骨部分と海綿骨との間で移植後早期に骨癒合し血行の速やかな再開が期待できるため、軟骨表面の糜爛や間質の亀裂、細胞壊死等の変性所見が少なく、良好に生着していると考えられた。また肋軟骨は硝子軟骨でありながら関節軟骨と異なりI型コラーゲンが主成分であるが、肋骨近傍ではII型コラーゲンにも染色されることからより関節軟骨に近いと思われ、この点でも関節軟骨損傷に対する移植材料として有利であると考えられた。 臨床的には軟骨欠損が比較的狭く、損傷が軟骨下骨にまで及ぶ離断性骨軟骨炎や突発性内顆骨壊死、骨軟骨骨折等の治療に応用が可能と思われた。
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