研究概要 |
TGF-βは関節軟骨の主要な増殖、分化促進因子であり、その作用機序を明らかにすることは関節軟骨の変性、再生のメカニズムの解明のみならず、近い将来導入されると思われる遺伝子治療等の臨床応用の可能性を模索するためにも非常に重要なテーマと考えられる。しかしTGF-βの作用機序に関してI,II,III型レセプターはクローニングされたものの、細胞内情報伝達経路は依然不明である。我々は培養ラット関節軟骨細胞を用いた系でTGF-βの情報伝達経路を中心に系統的に解明してきた結果、軟骨細胞特異的な伝達経路の存在を示唆する基礎的データを幾つか得た。ほとんどの細胞がTGH-βで細胞の蔵相が抑制されるのに比して、ラット関節軟骨細胞はTGF-β刺激によりDNA合成が著名に増加した。またブロトオンコジーンのc-fos遺伝子上流を用いたCATアッセイでTGF-βレスポンスエレメントが-403から-222に存在することがわかった。そこでラット関節軟骨細胞からcDNAライブラリーを作成し、two-hybrid system法でTGF-βのシグナル伝達介在蛋白のクローニングを試みた。すなわち、GAL4遺伝子におけるDNA結合因子の結合ドメインと活性化ドメインにそれぞれヒトTGF-β2型レセプターの細胞内ドメインとcDNAライブラリーを組み込むことでそれぞれの融合蛋白発現ベクターを作成し、酵母に遺伝子導入して、ヒスチジン耐性、β-galactosidase発現に対するBlue-GALを用いたカラー選択法で、スクリーニングし、現在数個のコロニーについて検索中である。
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