(1)軟骨特異的なPTHrP受容体をクローニングするためにまず、ラット大腿骨骨頭より得られた軟骨細胞の初代培養を行い、内因性及び外因性PTHrP作用の相違を解析した。外因性投与ではPTHとPTHrPの差異は認めなかった。このことはすでにMGHのグループによりクローニングされたPTH/PTHrP受容体が軟骨にもやはり存在することを物語っているが、軟骨細胞の細胞膜上に新たな受容体があることを示唆する積極的な証拠とはなり得なかった。一方、内因性のPTHrPの発現をアンチセンスDNAを用いてコントロールすると特異的な反応が認められた。(Tsukazaki T et al.J Endocrinol 150:359-368 1996)これはPTHrPのintracrine作用を示すものであるが、受容体の特定は困難なため、現在Two-hybrid法によるクローニングを検討している。 (2)ヒト関節軟骨におけるPTHrPの意義を明らかにすべく、正常、変形性膝関節症及び慢性関節リュウマチの軟骨におけるPTHrPの発現を検討した。その結果PTHrPは軟骨細胞の増殖やアポトーシス抑制に働くことが判明した。(Okano K et al.J Osteopaedic Res in press) (3)一方、慢性関節リュウマチの滑膜ではMyofibroblast様の細胞において著しいPTHrPの発現増加が認められ、関節周囲の骨・軟骨破壊への関与が示唆された(Okano K et al.Br J Rheumatol 35:1056-1062 1996) (4)またPTHrP発現骨芽細胞のin vivoにおける実験では、細胞外マトリックスの石灰化を認め、骨・軟骨石灰化の機序との関連が示唆された(Motomura K et al.Endocrine J 43:527-535 1996)。
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