研究概要 |
正常関節滑膜および実験的関節炎での滑膜におけるリンパ管分布と関節液貯留・排導機序 1)正常膝関節滑膜(ニホンザル)において5'-Nase-ALPase二重染色法を行い、リンパ管と血管の染別に成功した。その結果滑膜表層にもリンパ管、とくにinitial lymphaticsの存在が明確となった。また、全載標本では膝蓋骨周辺の滑膜に特に発達したリンパ管のnetworkが存在することを見い出し、これらの詳細をInternational Orthopaedics誌(1995,Vol.19,396-402)に報告した。 2)正常膝関節(ラット)を用い、その関節腔内にlatex、fluoresbriteを注入する実験では、とくに走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡を駆使し観察し、その結果、好中球やマクロファージがそれら粒子を貧食する様子や肉芽組織の形成過程があきらかとなった。関節腔内に注入された粒子は関節腔内でマクロファージに貧食され、滑膜内に運ばれ、マクロファージに取り込まれた状態で肉芽組織の中に認められた。また貧食したマクロファージが5'-Nase陽性のリンパ管を通り、粒子をリンパ節へ運ぶ様子も観察された。これらの結果は第19回日本リンパ学会(1995年6月)および第10回日本整形外科基礎学術集会(1995年10月)にて報告した。 3)実験的関節炎(ラットコラーゲン関節炎)に関しては現在検索を進めている。
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