研究概要 |
平成7年度に行った研究は,当初の研究計画に従い,ヒト骨肉腫由来の骨芽細胞(SaOS-2)を使用し,備品として購入した東洋精機製電磁場発生装置により電磁場刺激作用下に10% FCS+1%ペニシリン,ストレプトマイシン添加DMEM液中で24時間培養した。その後骨芽細胞内へのCaイオン取り込み測定のためsubconfluentの状態の培養骨芽細胞に500倍希釈Fura2を添加し37℃で30分培養し標識した。Krebs ringer bicarbonate灌流液を用い細胞内Caイオン濃度画像解析システム(ARGUS-50/Ca)により細胞内へのCaイオン取り込み測定を測定し電磁場刺激の影響を観察した。電磁場刺激は周波数100HZ,パルス幅15μsec,電圧510Vとして2.0ガウスの磁場強度で行った。電磁場刺激を行うことで骨芽細胞内へのCaイオン取り込みが影響されるかどうかを非電磁場刺激培養骨芽細胞と比較した。電磁場刺激、非刺激それぞれについて骨芽細胞の細胞内Caイオン濃度を測定した。 電磁場刺激を行った骨芽細胞では細胞内Caイオン濃度が非刺激骨芽細胞に比べ平均15%増加していた。また,副甲状腺ホルモン(PTH)に対する反応をみるため灌流液中にPTH10^<-7>molを添加刷ると電磁場刺激を加えた骨芽細胞はPTHに反応し速やかに細胞内Caイオン濃度が上昇したが非刺激の骨芽細胞ではほとんど上昇は認められなかった。 平成7年度の研究結果より電磁場刺激が骨芽細胞の細胞内Caイオン濃度に影響することが実証できた。次年度は培養条件と刺激条件を変化させ細胞内Caイオン取り込みへの影響を観察する予定である。
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