研究概要 |
電磁場刺激の骨形成促進の機序は全く不明であり、生体において骨形成が促進されるのは電磁場刺激の直接の影響ではないとする意見もある。電磁場刺激の骨形成に対する有効性を証明するひとつの手段として細胞機能に重要な役割を担うCaイオンの細胞内取り込みが、電磁場刺激によりどのように変化するかを知る目的の培養骨芽細胞を用いた実験を行なった。人骨肉種由来の骨芽細胞(SaOS)を使用し、周波数100Hz,パルス幅15μsec,磁場強度2.0ガウスの電磁場刺激下に24時間培養した後の細胞内Caイオン濃度の変化を細胞内Caイオン濃度画像解析システム(ARGUS-50/Ca)を用いて測定し、電磁場刺激を行なわずに同じ条件で培養した対照と比較した。この結果電磁場刺激を行なった骨芽細胞の細胞内Caイオン濃度は対照の骨芽細胞の細胞内Caイオン濃度に較べ平均15%増加していた。また、生体内での電磁場刺激の骨形成促進効果の証明も必要と考えて、成熟ウサギの上腕骨に電磁場刺激を加えて骨形成を調べる実験をした。骨髄内の骨新生は周波数100Hz,パルス幅15μsec,磁場強度2.0ガウスの電磁場刺激下で有意に増加しており本研究におけるin vitroの実験結果を反映する実験結果が得られた。電磁場刺激の刺激条件による影響などまだ今後行なうべき課題があるが、生体内での電磁場刺激の骨形成促進効果の証明も細胞レベルでの検討が必要と考える。
|