研究概要 |
【1997年度実績】 【実績】A)1997年度の一般校肢体不自由児リハ医学検診を行った。B)小児機能障害評価表を小児ADL能力評価表(ADLC-s)に名称変更し、親とリハ医の評価の検者間信頼性をWeighted kとICC(2,1)により検定した。筋ジスの障害の1年間の変化が検出できるかどうかにより妥当性(感度)を検定した。C)学校生活適応評価表(SLAI)の因子分析と再現性を検定した。 【結果】A)検診受診児は75名(普通級52名・特殊級23名;小学生49名・中学生26名)であった。機能障害では脳性麻痺42名(56%)、二分脊椎9名(12%)、筋ジス3名(4%)、骨関節障害13名(17%)などあり、知的能力良好56名(75%)、車椅子移動17名(23%)であった。ADL能力ではBarthel指数の平均点が86.9であった。B)1997年の68組の親とリハ医のADLC-sについて、Weighted kは理解(0.591)以外の17項目で0.800よりも大きかった(p<0.01)。ICC(2,1)は、運動機能(13項目)0.996、認知機能(5項目)0.858、総点(18項目)0.996であり、全て有意であった。したがって、親とリハ医間の検者間信頼性は良好とみなせた。1995年と1996年の2年連続の筋ジス(6名)の運動機能(13項目)得点は、1年間で平均59.8点から52.5点へ減少しており(p<0.05)、ADLC-sの妥当性(感度)は十分であった。C)75件のSLAIについて因子分析を行い、認知心理・上肢巧緻性・授業参加・言葉・耐性などの第9因子までで累積寄与率71%となった。因子分析によりSLAIは4項目の運動、11項目の認知、4項目の身体、3項目の授業の4分野とその他に分けることができた。SLAIの再現性検定では、行為・行動、運動スピード、身体耐久性、障害予後、運動許容度などの9項目でk係数が有意でなかった。 ICC(2,1)は、運動(0.793)と認知(0.729)と授業(0.658)の3分野は有意であったが、身体分野(0.256)は有意でなかった。1年の間に身体分野の能力などが変化したことや医学的情報が教師に十分に伝わっていないことなどが原因と考えられたが、SLAIは有用と結論できた。
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