研究概要 |
【3年間の実績】 A)一般校の肢体不自由児の障害の変化:12年間の一般校肢体不自由児リハ医学検診の記録を分析した。脳性麻痺が最多で小学生41%、中学生49%であった。1)4年間3期('85-'88、'89-'92、'93-'96)の小学2年生218名と中学1年生165名の障害変化では、12年の期間で身体障害の種類や程度に変化は認められなかった。2)2年間2期('88-'89、'95-'96)の普通級213名と特殊級62名の障害変化では、特殊級で障害がやや重度化していた。3)脳性麻痺(CP)痙直型87名、同アテト-ゼ型・他27名、二分脊椎29名、筋ジス24名、骨関節・骨系統疾患35名の障害の経年変化を分析した。成長に伴い少数で歩行とADLが向上し、CP痙直型と二分脊椎で拘縮変形が増悪した。B)小児ADL能力評価表(ADLC-s):ADL-sはWeeFIMと同一の18項目(運動13、認知5)であり、5段階の順序評価とした。自立と監視はWeeFIMと同じ7・6・5点の3段階、介助は4・2点の2段階とし、WeeFIMへの換算を可能にした。養護学校と一般校の肢体不自由児の親と教師へADLC-sを郵送した。1年を隔てた親の評価で再現性、親と教師および親とリハ医の評価で信頼性、Barthel指数などとの相関により妥当性を検定した。一致係数κやICC(2,1)などを用いた統計検定により、ADL-sの18項目および運動・認知・総合点について再現性、信頼性、妥当性が認められた。郵送法のスクリーニングの小児ADL評価として有用であると考えられた。C)学校生活適応評価表(SLAI):因子分析(第9因子までの累積寄与率71%)により、運動4項目、認知11項目、身体4項目、授業3項目の4分野とその他に区分できた。再現性では9項目でκ係数が有意でなく、特に身体分野はICC(2,1)が有意でなかった。しかし、SLAIはADLC-しゃBarthel指数などと相関を認め、学校教育の場との関連性も妥当であった。1年間隔のため再現性がやや低下したが、SLAIは肢体不自由児の学校生活への適応に関する評価表として有用であると考えられた。
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