研究概要 |
前年度の研究成果から、(i)慢性関節リウマチ(RA)の関節液中のサイトカイン(interleukin-1, interleukin-6, interleukin-8, tumor necrosis alfa)濃度とグリオスタチン濃度との相関関係を検討しところ、グリオスタチン濃度はinterleukin-1, interleukin-8濃度と相関関係があること、(ii) RA患者の人工膝関節置換術のさいに採取した滑膜を培養し、3代から9代継代した培養滑膜細胞をinterleukin-1, interleukin-6, interleukin-8, tumor necrosis factor alfaにて刺激したところグリオスタチンタンパク質の産生が認められることがわかった。 そこで平成8年度には培養滑膜細胞でのグリオスタチンの発現をReverse transcription-polymerase chain reaction法を用いてmRNAレベルにて検討した。無刺激の培養滑膜細胞でのグリオスタチンmRNA/β-actin mRNA比を1.00とするとinterleukin-1, tumor necrosis factor αにて16時間刺激するとそれぞれ4.37、2.64倍となりグリオスタチンmRNAの発現が誘導された。 さらにグリオスタチンのin vivoでの作用を検討するために大量のグリオスタチンが必要となるため、グリオスタチンcDNAを組み込んだ発現ベクター(pET-His)をE. coliにトランスフェクトしグリオスタチンを発現させグリオスタチン組換体を大量に調製した。グリオスタチン組換体をウサギ膝関節腔内に注入すると、微小血管の増生、炎症細胞の浸潤、リンパ球の集簇など慢性関節リウマチに類似した滑膜炎が惹起され、その炎症反応は、投与量、投与期間に比例した。
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