本研究は、1、ヒト肥厚性瘢痕(ケロイド)および正常皮膚よりRNAを抽出する。2、PCR法による全てのRNAの発現の差異検出法(Differential Display)により正常皮膚、肥厚性瘢痕(ケロイド)での異なる遺伝子断片の検出。3、Differential Displayにより検出された遺伝子断片のクローニング。4、肥厚性瘢痕(ケロイド)が正常組織と異なる原因となる遺伝子の同定を行う。以上の計画を予定している。 現在、1検体から採取した肥厚性瘢痕(ケロイド)および正常皮膚より抽出したRNAにてDifferential Display法が施行し5種類の遺伝子断片を採取しこれを再増幅し、もとのRNAとノーザンプロット法によりハイブリダイゼーションする事を2種類の遺伝子断片で確認した。 現在、他の固体から抽出したRNAでこの遺伝子断片がハイブリダイゼーションするかを確認するため他個体から肥厚性瘢痕(ケロイド)および正常皮膚を採取し培養系を継続している。 また、上記の如くDifferential Displayにより検出された複数の遺伝子断片のクローニングを行い、それぞれのDNAインサートの塩基配列を決定することにより性質を明らかにするためクローニングの準備を進めている。 Differential Display法は、2検体もしくは複数の検対間でのRNAの発現の差異検出に有用である。しかし、検出される遺伝子断片からその検体間での違いを決定する遺伝子断片を確認するには、研究期間が長期化する可能性がある。そこで、肥厚性瘢痕(ケロイド)由来線維芽細胞へのサイトカイン、薬剤、その他の培養条件の差により、発現してくるRNAの差異をDifferential Displayにより比較検討することも興味深いものと考えている。
|