研究概要 |
1 ケタミン(K)、ノルケタミン(NK)の高速液体クロマトグラフによる測定法: 使用器械は日立L-6000ポンプ、日立L-7300カラムオ-ブン、日立L-7400UV検知器、日立D-2500記録計を使用。カラムはラセミ体分離にはNBS社C-18(0.46×150cm)、光学異性体分離にはダイセル工業CHIRALCELL-OD(0.46×250cm)を使用。カラム温度は30℃、分離液流速は0.5ml/min、測定波長は215nmとした。内部標準物質として50ngのBr-ケタミンを添加した血漿0.5mlより2.5mlの5%イソプロピルアルコールと95%塩化ブチル混合液で抽出し、上清を乾燥後、150μlの各分離液で溶解し、遠心ろ過チューブを通した後、HPLCに50μlを注入した。 2 ラセミ体のHPLCの保持時間はNKは9.4分、Kは10.9分、Br-Kは13.9分であった。絶対回収率は76.6%、測定の平均変動係数は125-1000ng/ml間ではKのCV=4.0%、NKのcv=5.3%で、最小感度は5ng/mlと良好であった。 3 光学異性体(R-,S-型)のHPLCの保持時間はR-Kは18.1分、S-Kは20.7分、S-NKは32.8分、R-NKは33.8分で内部標準のBr-Kは19.3分と23.4分であった。 S-NKとR-NKの分離がやや不十分であった。測定の平均変動係数は125-500ng/ml間ではR-Kのcv=2.8%、S-Kのcv=2.9%、S-NKのcv=7.9%、R-NKのcv=7.3%で最小感度は10ng/mlであった。 4 結果: 1試料の測定に40分を要し、予算の関係で自動注入装置が購入できなかったので現在測定が終了してない。DFK麻酔中(2時間)、後の10例のケタミン、ノルケタミンの光学異性体の血漿濃度間には統計的有意差は見られていない。この事は通常のDFK麻酔中のケタミン光学異性体間には代謝速度に変化は見られないとの結論が得られた。さらに人口心肺使用時、長時間麻酔、肝、腎不全患者の試料を継続測定中である。
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