ブタを用いて以下の実験を行った。20〜25kgの子ブタ18頭を対象として、E.coli由来のエンドトキシン0.1mg/kgを30分間かけて静脈内投与を行い、エンドトキシンショックモデルを作製した。これらを6頭づつ、通常膜による持続緩徐的血液透析の群(CHD群)、持続緩徐的血液濾過の群(CHF群)、Evatlux2A膜を用いた体外循環のみを行って透析液を潅流しない群(Sham dialysis群)の3群に分け、循環、呼吸、代謝の変化について比較検討した。CHD群、CHF群、Sham dialysis群いずれも、エンドトキシン投与終了30分後より開始し、それぞれの治療を180分間行った。 心拍出量は投与開始30分で有意に低下したが、60分後には投与前以上の有意な上昇が見られた。その後徐々に低下したが、3群間に有意な差は認められず、平成7年度に行った対照群と同様の変化であった。また、平均血圧は投与開始30分後に一時上昇がみられたが、60分後には有意に低下し、以後低値を維持した。しかし、3群間および対照群との間に各時点で有意な差は認められなかった。他に、体温、心拍数、DO_2、VO_2、PaO_2/F_1O_2、動脈血pH、Paco_2、Pao_2、BE、血清Ca、血糖値、乳酸値などいづれの指標も3群共に対照群との差は認められなかった。 今回用いたエンドトキシンショックモデルにおいては、CHD、CHFいづれの方法も循環、呼吸、代謝に与える影響に差は無く、体外循環だけを行うSham dialysisでも同じであった。敗血症ショックなどに対する治療として、腎不全の管理以外の目的でのCHD、CHFの有効性は、今回の実験では証明できなかった。
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