ブタを用いて以下の実験を行った。20〜25kgの子ブタ34頭を対象として、E.coli由来のエンドトキシン0.1mg/kgを30分間かけて静脈内投与を行い、エンドトキシンショックモデルを作製した。これらを以下の5群に分け、循環、呼吸、代謝の変化について比較検討した。1)血液浄化法を行わない対照群(8頭);2)血漿成分分離膜(Evaflux2A)を使用した持続血液透析群(CPFD群:8頭);3)Evaflux2A膜を用いた体外循環のみを行って透析液を潅流しない群(Sham群:6頭);4)通常膜による持続血液透析群(CHD群:6頭);5)持続血液濾過の群(CHF群:6頭)。CPFD群、Sham群、CHD群、CHF群いずれも、エンドトキシン投与終了30分後より開始し、それぞれの治療を180分間行った。 心拍出量は投与開始30分で有意に低下したが、60分後には投与前以上の有意な上昇が見られた。その後徐々に低下したが、対照群と比較して、いずれの血液浄化法を施行した4群共に有意な差は認められなかった。他に、体温、心拍数、SVRI、DO_2I、PAO_2/FIO_2I、動脈血pH、PaCO_2I、PaO_2I、血清Ca、乳酸値などいづれの指標も4群共に対照群との差は認められなかった。 今回用いたエンドトキシンショックモデルにおいては、CPFD、CHD、CHFいづれの方法も循環、呼吸、代謝に与える影響に差は無く、体外循環だけを行うSham dialysisでも同じであった。敗血症ショックなどに対する治療として、腎不全の管理以外の目的でのCPFD、CHD、CHFの有効性は、今回の実験では証明できなかった。
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