研究概要 |
摘出灌流肝において、cytochrome C酸化法を用い、低酸素・再酸素化過程における肝内の細胞外oxident 産生を定量した。吸入麻酔剤のisoflurane は、再酸素化時の細胞外 oxidant 産生を有意に抑制し、また、再酸素化後の逸脱酵素の流出を抑制した。また、再酸素化時の細胞外 oxidant 産生は,Kupffer cell(大食細胞)の不活性化をもたらす gadolinium chloride 処置により抑制された。したがって、吸入麻酔剤による肝虚血再灌流障害の抑制には、吸入麻酔剤の Kupffer cell に対する抑制作用が関与しているものと思われた。 Isofluraneは、虚血・再灌流時の肝血流・代謝変動に関与すると考えられる endothelin-1,endothelin-3による肝血流・代謝変動を軽減した。各種吸入麻酔剤は、虚血・再灌流時の細胞内カルシウム増加による肝血流・代謝変動を再現しうる Ca-ionophore による血流・代謝変化を軽減した。したがって、吸入麻酔剤は、虚血・再灌流障害に関与すると考えられる endothelin や細胞内カルシウム増加に対しても抑制的に作用すると考えられる。 摘出灌流肝に対し、各種の程度の虚血・低酸素を負荷司、代表的ストレス蛋白であるHsp70 mRNAの発現を nothern blot analysis により半定量化した。Hps70の発現は、虚血・低酸素の程度と比例していた。吸入麻酔剤の影響については、検討中である。
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