研究概要 |
疼痛伝達系に於ける情報修飾因子としての機能が疑われているタヒキニンの一つであるsubstance P(SP)やSPの前駆体と活性モノアミン系の薬剤の鎮痛機構での相互作用を検討するに際して、まず、モルヒネ(MOR)と種々のalfa-2 agonistsの鎮痛作用に関する基礎的な考察を加えた。われわれの実験モデルは、脊髄クモ膜下腔、あるいは、硬膜外腔にカニュレーションされた慢性動物であるが、tail-flick testを用いる疼痛熱刺激反応に於いて、%MPEを用いて表現すると、MORのED50値はそれぞれ、0.4ug/ratと15.6ug/ratである結果を示し、硬膜外投与は脊髄クモ膜下投与に比して約40倍の薬剤投与量を必要とした。この系を用いた実験から、dexmedetomidine,clonidine、及び、tizanidine等のalfa-2 agonistsは単独投与(硬膜外投与)でかなり強い鎮痛作用を呈し、その力価は、ED50値で表現して、それぞれ、3ug/rat,42ug/rat,,及び、93ug/ratであった。他方、これらalfa-2 agonistsの脊髄シナプトゾームとの親和性をin vitroの3H-UK14304結合阻害実験で検討したところ、ED50値で表現して、0.3nM,7.1nM,及び、21nMであった。すなわち、この実験系に於けるalfa-2 agonistsの示す鎮痛効果が、恐らく脊髄シナプトゾーム上のalfa-2受容体を介する作用であることが示唆される結果が得られた。
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