小児の外来手術を対象とし、従来の麻酔方法(亜酸化窒素とセボフルラン)とキセノン麻酔を比較検討した。2つの麻酔方法における覚醒時間、嘔気嘔吐の有無、飲水までの時間、歩行できるまでの時間を測定した。覚醒時間はキセノン麻酔が有意に短いが、その他は両群に有意差がなかった。キセノン麻酔の覚醒時間は速いといっても数分の差であり、このことだけで麻酔の有益性を主張できないと思われる。これらの結果からキセノンの小児外来麻酔への有用性は少ないと考えられた。 キセノンの肺胞最小濃度(MAC)は70%であり、MAC awakeは32%であった。従って全身麻酔として就眠量(濃度)程度の麻酔深度が要求される場合、40%以上のキセノン濃度でなければ術中覚醒を招く可能性がある。キセノンのMACとMac AWAKEの比は0.46で、鎮静作用と鎮痛作用のバランスは吸入麻酔薬と亜酸化窒素の中間に位置していると判断される。 キセノンの鎮痛作用を亜酸化窒素と比較した。0.2MACの双方の麻酔ガスを吸入させ、鎮痛作用を圧痛計にて測定した。同一MACでの鎮痛作用は亜酸化窒素がキセノンより強い傾向にあったが有為差はなかった。
|