シャジクモ節間細胞における局所麻酔薬QX-314の取込みを検討する目的で、まず電気生理学的手法で同細胞の原形質膜に及ぼす作用を検討した。局所麻酔薬QX-314は局所麻酔薬リドカインの誘導体で荷重型局所麻酔薬である。QX-134はリドカインと同様軽度の原形質膜脱分極作用を認めた。次に細胞に刺激を与え興奮させた場合も、リドカインと同様にこの脱分極作用は増強した。しかし、実験溶液即ち細胞外液のpHをアルカリに変えた場合、リドカインと比べ、この作用は増大しなかった。一方、活動電位に対する影響を調べた。活動電位のピークに与える影響はリドカイン同様あまり顕著でなかった。 局所麻酔薬の作用はCaイオン、カルモジュリン、Kチャンネルとの関連性が知られているので、まず同細胞の興奮の初期過程の解析を行なった。刺激を行なって活動電位を発生させた場合、その活動電位の立ち上がりの初期過程にKチャンネルが開口することが示唆された。こうした初期過程に流れる電流成分の解析を行なうと、細胞外液のCaイオンによりその影響をうけることが判明した。即ちこうした電流成分は外向き及び内向き電流成分などに分析できるが、細胞外液のCaイオン濃度を高めると、内向き電流が増大し、逆にCaイオン濃度を低くすると内向き電流が減少し、外向き電流が増大した。この外向き電流の一過程は細胞外液のBaイオンにより抑制を受けた。これらの事実により、K電流、Ca電流、Cl電流の初期過程における関与が示唆された。今後はこおうした電流成分に対する局所麻酔薬の作用を調べたい。
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