研究概要 |
[実験方法] 幼若ラット脊髄を摘出後、寒天に包埋しスライサ-にて厚さ120μmの切片を作成し37℃で1時間インキュベートした。95%O2+5%CO2で通気したリンゲル液(13mM NaCl,3mM KCl,1mM NaH_2PO_4,25mM NaHCO_3,2mMCaCl_2,1mM MgCl_2,and 11mM glucose pH7.4)で灌流しノマルスキー顕微鏡を用い直視下に運動ニューロンを同定しwhole cell patch clampをおこなった。CNQX(glutamate antagonist),bicuculline(GABA antagonist)存在下で、興奮性およびGABA作動性抑制性シナプス伝達を遮断した後、運動ニューロン近傍の介在ニューロンを直視下に同定刺激し、voltage clamp下の運動ニューロンよりグリシン作動性monosynaptic IPSCを記録した。気化器からの1-3%ハロセンで通気した灌流液を10分間投与した。 [結果] 2%ハロセン投与10分後monosynaptic IPSCの最大振幅は55±23%(n=15)に抑制された。一部のニューロンでは(n=4)、ハロセン投与初期に(1-2分)軽度の増強が見られた。この抑制は可逆的であった。このことより、抑制性シナプス伝達も興奮性シナプス伝達同様に抑制されることが明確に示された。即ち、麻酔薬の全般的な抑制作用は、抑制系の増強によるのではないことが明らかとなった。
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