研究課題/領域番号 |
07671659
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹之下 真 大阪大学, 医学部, 講師 (00144486)
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研究分担者 |
吉矢 生人 大阪大学, 医学部, 教授 (80028505)
柴田 政彦 大阪大学, 医学部, 助手 (50216016)
川口 哲 大阪大学, 医学部, 助手 (70214616)
上山 博史 大阪大学, 医学部, 助手 (10243205)
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キーワード | ハロセン / 吸入麻酔薬 / 麻酔作用機序 / シナプス伝達 / 抑制性シナプス / グリシン |
研究概要 |
全身麻酔薬の作用部位がシナプスであり、興奮性シナプス伝達が抑制されることは従来明らかにされてきたが、抑制性シナプス伝達が抑制されるのか増強されるのか論争のあるところであった。われわれは吸入麻酔薬ハロセンが単シナプス性のグリシン作動性抑制性伝達を抑制すること、シナプス後膜反応がハロセンにより増強する事を明らかにし、ハロセンの作用部位が主に前シナプスであることを明らかにした。 【方法】幼若ラット脊髄を摘出後、厚さ120μmの切片を作成し、95%02+5%CO2で通気したリンゲル液で潅流し、ノマルスキー顕微鏡を用い直視下に運動ニューロンを同定しwhole cell patch clampをおこなった。CNQX,bicuculline存在下で、興奮性およびGABA作動性抑制性シナプス伝達を遮断した後、運動ニューロン近傍の介在ニューロンを直視下に同定刺激し、グリシン作動性monosynaptic IPSCを記録した。次にTTX存在下に抑制性の微小シナプス電流振幅を記録した。さらに、30mMのグリシンを局所投与し、グリシン誘発電流を記録した。ハロセンは気化器を1-3%に設定し、潅流液を通気し投与した。 【結果】2%ハロセン投与10分後monosynaptic IPSCの最大振幅は55±23%(n=15)に可逆的に抑制された。2%ハロセンにより微小シナプス電流振幅は約20%増加した(122±23%,n=12)。またグリシン誘導電流は2-3倍に増加した(n=2)。 【結論】抑制性シナプス伝達も興奮性シナプス伝達同様に抑制されることが明確に示された。シナプス後膜反応は増強しているのに、シナプス伝達そのものは抑制されていることから、この系でのハロセンの作用部位は主に前シナプスである。
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