研究概要 |
平成7年度は白ウサギ10例にエンドトキシン(E.Coli 由来)を持続静注し多臓器不全を作成した。このモデルにリドカイン静脈内持続投与(5例)を施行しその効果を生理食塩水投与群(5例)と比較検討したところ以下の結果を得た。検討臓器としてはエンドトキシン静注24時間後の肺、肝、腎とした。肺障害に関しては血液ガスデータ(PaO2)、コンブライアンス、肺の乾湿重量比はリドカイン群で高値を示した。気管内洗浄液中の白血球数、アルブミンはリドカイン群で低値であり、肺組織(光顕)の軽減が見られた。このようにリドカイン静脈内持続投与はエンドトキシン肺障害を生化学的、生理学、組織学的に軽減した。肝障害に関しては血液中の酵素(GOT,GPT)の上昇がリドカイン群で低値であった。腎障害に関しても血液中の酵素(Cr,BUN)がリドカイン群で低値であった。このようにリドカイン静脈内持続投与はエンドトキシン肝障害、腎障害を生化学的に軽減した。また、8例のウサギの死亡率をエンドトキシン投与の有無(4列ずつ)で比較したところエンドトキシン投与2日後に生理食塩水投与群4例中2例のウサギが死亡した。リドカイン群は4例中1例のウサギが死亡した。リドカインはエンドトキシンによる肺、肝、腎障害を軽減させ死亡率の改善に寄与した可能性がある。8年度は気管内洗浄液中のサイトカイン濃度の比較、肝腎組織の評価及びメカニズムに関して調査したい。
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