平成7年度にひきつづき本研究はリドカインの多臓器不全に対する有効性を検証するために行われた。平成8年度は日本白色ウサギ7例にエンドトキシンを静注して多臓器(肺・肝・腎)不全を作成しリドカイン静脈内持続投与4例の効果を検討した。生理食塩水投与群3例をコントロールとした。本年度は評価項目としてはエンドトキシン静注24時間後の肝組織、腎組織、気管支肺胞洗浄液中のサイトカイン、アルブミン、各組織のミエロペルオキシダーゼ活性(白血球の組織集積度を反映する)とした。リドカイン投与群で光顕レベルにおいて肝組織、腎組織障害の軽減が見られた。また気管支肺胞洗浄液中のアルブミン、インターロイキン-6、インターロイキン-8はリドカイン群で低値であった。肺、肝、腎各組織のミエロペルオキシダーゼ活性もリドカイン群で低値であった。このようにリドカイン静脈内持続投与はエンドトキシンによる多臓器不全を生化学的、組織学的に軽減したがこれにはリドカインの白血球機能を抑制する作用が深く関わっていると考えられた。また12例のウサギの死亡率をエンドトキシン投与の有無(6例ずつ)で比較したところエンドトキシン投与2日後に生理食塩水投与群6例中4例のウサギが死亡した。リドカイン群は6例中2例のウサギが死亡した。死亡率の改善傾向はみられたが有意なものではなかった。さらに副作用のチェックならびに安全性の評価を詳しく行う必要がある。
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