研究概要 |
1.細胞外からのカルシウム流入が肝細胞からの低酸素ブドウ糖放出に与える影響H7年度に用いたと同様の方法を用い,コラゲナーゼ潅流法で分離したWistar系ラット肝細胞を48時間培養した.初代培養肝細胞を,低酸素環境(5%二酸化炭素,95%窒素下の低酸素下),および対照として好気的環境(5%二酸化炭素,20%酸素,75%窒素下)の2つの条件に置き,ブドウ糖を含まないHanks緩衝液に培養液を置換後,37℃,30分間インキュベーションし,培養液中に放出されるブドウ糖と乳酸を測定した.Hanks緩衝液の(1)カルシウム濃度を0 (EGTA添加)から1mMに変化させ,また(2)ベラパミール,テトラメトリン,コバルトなどのカルシウム拮抗剤を添加し,肝細胞内への細胞外カルシウム流入がhypoxic glucose outputに与える影響を検討した.その結果,細胞外カルシウム流入を阻害するとhypoxic glucose outputが減少することが明らかになった.この際,電位依存性チャンネルの阻害はこの作用を持たなかった. 2.ドーパミンの肝細胞のブドウ糖放出に与える影響 H7年度にドーパミンの肝細胞のブドウ糖放出に与える影響を,ラット初代肝培養細胞を用いて検討し,ドーパミンはβ受容体を介して弱い糖放出作用を有することが確認された.H8年度には,さらにβ受容体のうちβ2受容体を介して弱い糖放出作用を起こすことを受容体遮断薬を用い確認した.
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