【研究目的】 以下の目的で実験を施行した。 1.Permissive hypercapnia時における換気力学反応を明らかにする。 2.Permissive hypercapniaにおけるPaCO2上昇、PH低下の心循環機能および脳圧に及ぼす影響を明かにする。 【研究方法】 オレイン酸肺水腫を作成した雑種成犬をケタミン、ミダゾラムの持続鎮静し人工呼吸管理した。実験中はPaO_2を100mmHg前後に維持し、換気力学モニタを気管内チューブに装着し、また、肺動脈カテーテルを挿入した。 1.換気力学動態の測定 人工呼吸モードをpressure support ventilation(PSV)としてサポートレベルを5cmH_2O、10cmH_2O、20cmH_2Oの3段階で低下させた。サポートレベルを変化した20分後に、肺胸郭コンプラインス、気道抵抗、P0.1、吸気仕事量、Tension-Time-Indexなどの換気力学諸指標を測定した。また、呼吸炭酸ガス濃度を連続モニタした。 2.心循環動態および脳圧の測定 人工呼吸モードをpressure control ventilation(PCV)として、換気圧/呼吸回数を調節するとによってPaCO2を変動させ、心循環動態を測定した。また、脳圧は脊髄腔へカテーテルを挿入して測定し、PaCO2の上昇と脳圧の上昇を観察した。 【結果】 1.PSVのサポートレベルを低下することによって自発換気量、呼吸回数、呼吸仕事量が増加した。しかし、PaCO_2上昇が起こらず、hypercapnia状態を作成できなかった。 2.心循環動態および脳圧に関しては、PaCO_2上昇が早いほど心循環諸指標に与える影響が大きいことがわかった。しかし、脳圧に関しては脊髄圧を観察したが現在のところ大きな変化は得られていない。
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